近頃急速に、世界中の入国管理、国境当局が、自国を訪問する外国人のパスポートに出入国スタンプを押印しなくなっています。米国では今年から、外国人が入国する際、パスポートに入国スタンプを押印するプロセスを廃止しました。それほど大きな出来事ではないように聞こえますが、就労ビザ保持者にとって、とりわけ、出入国スタンプを証拠に、米国外で過ごした日数分を取り戻すことでビザの期限を最大限に利用出来た、H-1、L-1、R-1保持者にとっては、非常に重大な変更となりました。 証拠としての入国スタンプ 米国移民法では、H-1、L-1、R-1ビザ保持者が米国で滞在出来る期間に上限を設けています。ですが、ビザの有効期間中に米国外で過ごした期間がある場合、その米国外で過ごした日数分だけ、ビザを延長することが認められています。 H、L、Rビザステータスを最大限に活用すべく、米国外で過ごした日数分を取り戻すための申請では、パスポートに押印されたスタンプこそ、出入国を証明する「有力な証拠」の役割を果たしていたのです。 ビザの有効期限を延長するメカニズム この「米国外で過ごした日数を取り戻す申請」とはどういうものなのか、H-1Bビザの例で考えてみましょう。H-1Bビザは最長6年間の滞在が認められていますが、その6年の間に仕事や個人的な理由で出国し、米国外に滞在した期間が仮に合計6ヶ月とします。適切な申請と証拠を提出すれば、ビザステータスを当初の有効期限から6ヶ月延長出来る、というわけです。 しかし、入国スタンプの廃止により、米国外に滞在していた期間を示す、有力な証拠を提出することが出来なくなった今、入国スタンプ以外の方法で、米国外での滞在期間を証明しなくてはならなくなりました。 米国外での滞在期間を証明する、入国スタンプに替わる証拠 入国スタンプの廃止に伴い、米国を出国し、他国に入国したことを証明する有力な証拠が入手出来ない、あるいは、一貫性がない状況に直面していることから、米国外での滞在を証明するためには、積極的に対策を講じていくしかありません。 まず、米国入国後には必ず、Form I-94だけでなく、米国の出入国の履歴が記載されているTravel Historyもダウンロードしましょう。それに加え、渡航時の搭乗券のコピーを保存しておくことも大変重要です。これらは、非移民ビザ申請書(Form DS-160)や移民ビザ申請書(Form DS-260)を記入する際にも大いに役立ちます。 ビザを最大限に活用するために 今回の出入国スタンプ廃止のように、米国移民制度には、単純な内容でありながらも不都合が生じる変更もあります。こうした変更点にうまく対応していくことは、なかなか難しいものです。ブランドン・バルボ法律事務所では、移民制度の複雑さを理解した上で、ビザのメリットを最大限に活かすためのお手伝いをしています。米国内でのステータス延長、米国に滞在するために、どのようなオプションがあるのかなど、ご質問、ご相談のある方は、どうぞ、ブランドン・バルボ法律事務所までお気軽にお問合せください。
1989年9月、私、ブランドン・バルボがビジネス移民法を始めた頃、移民法の状況は現在とは大きく異なっていました。当時は、米国国内で手続きが出来る、ビザステッカーの再認証プログラムがあり、申請書類とパスポートを米国国務省へ送付するだけで就労ビザのビザステッカーを更新することが出来たのです。つまり、現在のように、数千ドルもの費用をかけて米国外へ渡航し、新たなビザステッカーを申請、承認後に米国へ戻る、というプロセスを踏む必要がなく、コスト面においても、効率的にビザステッカーを更新することが出来ていました。 しかし、2001年9月11日の悲劇的な出来事を機に、移民政策は劇的な変化を遂げ、国家安全保障の名の下、ビザステッカーの再認証プログラムは取り消されることとなりました。 そして、今、20年の時を経て、ビザステッカーの再認証プログラムが復活しようとしています。米国国務省は、今年後半より、まずはH-1ビザを対象に、新たな試験的プログラムを始める準備を進めています。ビザプロセス改革の一環とし、現在、最終調整がなされているところですが、このプログラムが導入されれば、ビザステッカーを再認証するための時間や費用の大幅な節約が期待出来ます。 この試験的プログラムが、予期せぬ問題も起こらず、1年ほど実施された後には、他のビザクラスにも適応される可能性があります。このプログラムの利点は、以下の通りです。 手続きにかかる時間の削減: ビザ保持者はビザステッカーの更新が必要な場合、米国を一時的に離れる必要がありました。これは、個人の生活に支障をきたすだけでなく、雇用主にも影響を及ぼします。 コスト削減: 前述の通り、このプログラムは大幅なコストカットにつながります。海外渡航には多額な費用がかかり、不便も伴います。このプログラムが再び導入されれば、こうしたコストは大幅に削減されるか、あるいは、完全になくなる可能性さえあるのです。 効率性:非常に効率的なプロセスのおかげで、個人や雇用主の貴重な時間を節約することが出来るほか、面接や、膨大な書類作成を必要とする更新方法とは異なり、このプログラムでは必要な書類や手間が少なく済みます。 注意点:再認証の手続き中に、Form I-94が失効しないように! 大変重要な注意点としては、ビザステッカーの再認証プログラムを利用するビザ保持者は、再認証の手続き中に、米国での合法的なステータスを証明するForm I-94が失効しないよう、十二分に注意する必要がある、ということです。ご承知の通り、ビザステッカーは米国への入国を要請する権利を認めるだけの書類であり、一方のForm I-94こそが米国での滞在を認める書類です。もしも、再認証の手続き中にForm I-94が失効した場合は、再認証の申請は却下され、その結果、米国を出国、ビザステッカーを申請、そして、新たなビザステッカーの発給後に米国に戻らなくてはなりませんので、くれぐれもご注意下さい。 再認証プログラムの再導入は、移民政策、そして、多くのビジネスにとって、著しい進歩といえます。この新しい試験的なプログラム、もしくは、変化するビジネス移民法について、ご質問、ご相談のある方は、ブランドン・バルボ法律事務所まで、お気軽にお問合せください。
米国市民の配偶者が永住権を取得する際、グリーンカード発給時に婚姻期間が2年未満である場合は、2年間の条件付きグリーンカードが発給されます。この条件を取り外し、10年間有効のグリーンカードへ更新するための手続きを I-751申請といいます。 昨今、米国移民局において、このI-751申請においても、大幅な遅延が生じています。米国移民局でのI-751申請に対するプロセス期間は、以前は8~12ヶ月ほどでしたが、現在では、実に4年近くもの期間を要しているのです。この状況に対し、I-751を申請した永住権保持者には、幸いにも、ステータス(滞在資格)の延長措置が講じられましたが、もうひとつ、考えられる方法があります。それは、米国市民権を取得することです。 グリーンカードの有効期限の延長 米国移民局は、I-751申請者のグリーンカードの期限がより長く延長されるよう、申請書類の受理後に発行するReceipt Notice(受理通知書 / Form I-797)上の記載内容を変更しました。 その変更とは、I-751を提出すると、手元にあるグリーンカードの有効期限が48カ月延長される、というものです。なお、今回の変更前にI-751を提出した申請者であっても、同様に48カ月の延長措置を受けることができます。 この48カ月の延長措置により、 I-751申請の手続きが完了するまでの約4年間は、米国内での就労および米国外への渡航が保証されます。とはいえ、プロセスにこれだけの期間が掛かりますから、条件付グリーンカードの有効期限が90日前になったら、すぐにI-751を申請したほうが良いでしょう。 延長措置の間に、米国市民権を しかしながら、この米国移民局による、48カ月の延長措置とプロセスに要する期間は、本来の目的をほぼ破綻させていると言っても過言ではありません。というのも、米国市民の配偶者として永住権を取得した場合、3年後には米国市民権を申請することができるからです。 つまり、I-751を申請、48カ月の延長措置を受けつつ、プロセスの完了を待つ一方で、I-751申請から1年後に米国市民権を申請、さらには取得も不可能ではない、ということになります。米国移民局も、この状況を考えれば、“プロセス期間4年”の現状に対し、早急に対策を講じる必要があると考えざるを得ないのではないでしょうか。 ブランドン・バルボ法律事務所は、米国でのステータスを合法的に維持することをはじめ、米国市民権取得のお手伝いもしております。複雑な米国移民法の問題に直面している方、長期に渡るプロセスの遅延がご自身やご家族、ビジネスにどう影響を及ぼすか不安に思う方は、お気軽に当事務所までご相談ください。